AWS MLA は、廃止された旧 MLS の後継として 2024 年に登場した新しい試験です。実務で SageMaker を使う機械学習エンジニアにとっては、最も実装に近いところを問われる資格になります。
私は AWS 認定を 6 つ取りましたが、機械学習はやってきませんでした。SageMaker や Bedrock は仕事で触ったことがなく、AI/ML は「隣の領域」のままです。MLA 自体はまだ受験していませんが、6 資格を取る過程で身についた試験対策のやり方を軸に、日英 49 件の合格体験を読み込んで整理した内容をこの記事にまとめています。
これから MLA に挑戦する方も、旧 MLS を持っていて取り直すべきか迷っている方も、判断材料に使える内容です。
この記事の構成
MLA(機械学習エンジニア アソシエイト)は、AWS の機械学習関連の資格の中で、機械学習エンジニアの実装側を対象とする試験です。AI/ML 系には他にも資格があるので、まず棲み分けを示します。
カテゴリ | 試験 | こんな人向け |
|---|---|---|
機械学習エンジニア(実装) | 本記事 MLA | SageMaker / MLOps / モデル運用 |
生成AI開発(上位資格) | 生成AI 開発の Professional 級資格 | |
AI/ML/生成AI 入門 | 用語と全体像から始めたい | |
クラウド設計の汎用 | AWS の設計力を証明 |

この記事では MLA 単独の全体像(試験概要・旧 MLS との関係・難易度・勉強法・教材・FAQ)を一通り扱います。「aws 機械学習 資格」と検索して 3 資格の違いから知りたい方は、§2 と §3 で棲み分けを確認してから先に進んでください。
AWS MLAとは(試験概要)
ではここから MLA そのものに入ります。MLA-C01 は、AWS の機械学習エンジニア向けの Associate 級資格です。正式名称は AWS Certified Machine Learning Engineer - Associate です。aws machine learning engineer で検索すると公式ページに当たります。現行バージョン(2024 年 GA)の MLA-C01 が唯一の試験コードで、旧版はありません。
AWS 公式の試験ガイド PDFでは、対象受験者を以下のように定義しています。
- Amazon SageMaker などの ML エンジニアリング AWS サービスを 1 年以上使った経験がある人
- バックエンド開発 / DevOps / データエンジニア / データサイエンティスト としての関連職務経験 1 年以上
つまり「ML モデルを研究する」より「業務で動かす」側の資格です。Specialty 級だった旧 MLS が ML 全般の理論・モデリングまで広くカバーしていたのに対し、MLA は SageMaker と MLOps への寄り方が明確に強くなっています。3 資格比較記事(classmethod)によれば、試験ガイド本文の SageMaker 出現頻度は MLA 39 回 / AIF 12 回 / 旧 MLS 2 回 と桁違いです。
AI 系の他資格との位置づけも確認しておきます。AIF は同じく AI/ML/生成 AI を扱いますが Foundational 級の入門資格で、用語と全体像が中心です。AIP は Professional 級で、生成 AI 開発の上位資格として別系統に整理されます。MLA は AIF の 1 段上、AIP とは別系統という位置です。
現行 3 資格の整理が済んだところで、もう 1 つ押さえておきたいのが廃止された旧 MLS との関係です。次のセクションで扱います。
旧MLSとの関係
旧 MLS(旧 機械学習 - スペシャルティ)は、2026 年 3 月 31 日を最終受験日として廃止されました(AWS 公式 blog)。すでに取得している方は、取得日から 3 年間は有効性が維持されます。aws mls 廃止 で検索される疑問はここに集中するので、結論から押さえます。
AWS 公式は MLS 廃止に伴う後継 pathway として、AIF / MLA / DEA(データエンジニア アソシエイト) / AIP の 4 資格を提示しました。ML domain(機械学習エンジニアリング)の中心的な後継は MLA です。AIP は生成 AI 開発の Professional 級資格(試験コード AIP-C01)で、機械学習エンジニアの実装責務とは別系統です。MLS の純粋な代替は MLA、生成 AI 領域の上級ステップとしては AIP、という棲み分けで読むと混乱しません。

旧 MLS を保持する方が再認定するなら、2026 年 4 月以降は MLA-C01 が事実上の選択肢です。試験範囲は SageMaker と MLOps に大きく寄っており、Specialty 時代の出題範囲とは中身がかなり違います。MLS と MLA の両方を受けた合格者の感触として「ASSOCIATE は問題文の複雑さが低く、選択肢が選びやすい傾向」(aminosan000 氏 受験記)と書かれています。MLS の代わりに MLA、で大きな違和感はないルートです。
試験形式(合格点・受験料・出題範囲)
旧 MLS との位置づけが見えたところで、ここからは MLA-C01 単体の試験スペックを公式値でまとめます。aws mla で検索される基本スペックは、すべてこのセクションに集約しています。
項目 | 内容 |
|---|---|
試験コード | MLA-C01 |
試験時間 | 130 分 |
問題数 | 65 問(採点対象 50 問 / 未スコア 15 問) |
合格スコア | 720 / 1000(補正スコアモデル・総合得点のみで判定) |
受験料 | 150 USD / 20,000円 税別(税込22,000円 ※為替により変動) |
配信 | Pearson VUE(テストセンター or オンライン監督付き試験) |
言語 | 英語 / 日本語 / 韓国語 / 中国語(簡体字) |
有効期間 | 3 年 |
出典: AWS 公式 試験ページ / 公式試験ガイド PDF / Before Testing ポリシー。なお競合記事には「試験時間 170 分 / 180 分」「問題数 75 問 / 85 問」の誤記が散見されますが、現行は 130 分・65 問が正です。
4 ドメインの配点
公式試験ガイドに記載された 4 ドメインの配点は以下です。
# | ドメイン | 配点 |
|---|---|---|
D1 | Data Preparation for ML(データ準備) | 28% |
D2 | ML Model Development(モデル開発) | 26% |
D3 | Deployment and Orchestration of ML Workflows(デプロイとオーケストレーション) | 22% |
D4 | ML Solution Monitoring, Maintenance, and Security(モニタリング・運用・セキュリティ) | 24% |

D1 と D4 で半分以上 = データ品質と運用が試験の半分です。「モデルの中身を解く試験」というより「ML パイプラインを回す試験」のイメージです。
新しい出題形式
MLA から、従来の択一・複数応答に加えて順序付け / マッチング(内容一致) / ケーススタディが登場します。aminosan000 氏は受験記の中で、これらの新形式を「初見だと面食らう」と書いています。とはいえ択一と複数応答の比重は依然として大きく、新形式は補助的な扱いです。慣れの問題と捉えて公式練習問題で形式に触れておけば十分対応できます。
難易度(他試験との比較)
試験形式が掴めたところで、次は多くの受験者が気にする難易度です。
aws mla の体感難易度は 「AIF より上、SAA とは別軸、旧 MLS より下」 が日英 49 件の合格者で一致した評価です。AWS 全 13 資格の難易度ランキングでは MLA は 10 位(★★☆☆☆)で、Specialty より明確に取りやすい立ち位置です(note 難易度ランキング)。
ただし、難易度評価は読者層で割れます。
- AWS 全冠者・旧 MLS 取得者: 「easier than MLS」「Associate らしい易しさ」(aminosan000 氏 945 点 / shinkaaaai 氏 874 点)
- SAA 持ち・ML 経験浅め: 「Associate 標準。SageMaker と評価指標の知識を入れれば届く」(ida 氏 SRE 経験で 839 点)
- ML 完全未経験: 「AIF より難しく感じた」「ギリギリ合格」(motuneko 氏 804 点)
shinkaaaai 氏の感触として印象的だったのは「MLS が AI/ML のモデルやアルゴリズムに焦点を当てるのに対して、MLA は MLOps 的な運用に焦点を当てた試験」という整理です。MLS と MLA は同じ機械学習でも問われる軸が違うので、MLS 合格者でも MLA が即時楽になるわけではありません。逆に SAA / DOP(DevOpsエンジニア プロフェッショナル)など運用寄りの資格を持つ方は、SageMaker 機能の暗記さえ載せれば届きやすいルートになります。
公式試験ガイドの Out of scope 欄も難易度判定の助けになります。「2 つ以上の ML ドメイン(NLP、CV)の深掘り」「モデル量子化と精度への影響分析」など、MLS 時代に踏み込んでいた研究寄りの領域は明確に外れています。実装と運用に絞った Associate 試験です。
学習時間の目安・経験別の勉強方法
難易度の感覚がついたところで、次に気になるのは「どれくらい勉強すれば届くか」です。
AWS 公式の Skill Builder 学習計画は総 40〜50 時間が目安です(Exam Prep Plan 16 時間 35 分 + Learning Plan 26 時間 10 分)。一方、合格体験記の実績は 10〜60 時間と幅が広く、要するに「経験値で大きく圧縮できる」試験です。
合格体験記 49 件を経験別に整理すると、3 つのルートに分かれます。
ルート | 想定する人 | 学習時間の目安 |
|---|---|---|
(1) 全冠者・旧 MLS 取得者ルート | AWS 多資格保持 + ML 経験あり | 10〜20 時間 |
(2) SAA 持ち・ML 経験浅めルート | Associate 1〜2 個保持・実務は浅い | 20〜30 時間 |
(3) ML 未経験ルート | SageMaker 触ったことなし | 40〜60 時間 |

全 3 ルート共通の学習フロー
ルートが違っても、回す順番は同じです。
- 公式試験ガイド PDF を読んで 4 ドメインの守備範囲を把握
- AWS Skill Builder Exam Prep Plan(16 時間 35 分・無料中心)でインプット
- 問題集(YEEE-T 氏 Udemy / Tutorials Dojo / CloudLicense 等)で出題形式に慣れる
- AWS Black Belt Online Seminar の SageMaker・Bedrock 関連を補強用に流す
経験別の調整ポイント
(1) 全冠者・旧 MLS 取得者: aminosan000 氏は MLS と AIF を持ったまま 20 時間で 945 点を取っています。「AWS 外の専門知識を問われる深さは MLS より浅い」とも書いています。Skill Builder Pretest と公式 20 問で形式確認 → 弱点だけ Black Belt で補強、で十分間に合う最短コースです。
(2) SAA 持ち・ML 経験浅め: ida 氏(SRE 経験あり)は AWS 周辺知識を活用するカバー戦略を取り、839 点に到達しています。SageMaker の主要機能(推論オプション 4 種・ハイパーパラメータ調整 4 種・組み込みアルゴリズム)を中心に押さえれば、Associate らしい問題は SAA の延長で取れます。
(3) ML 未経験: agent_grow 氏(ML 案件経験ゼロ)は年末年始 1 週間で合格しています。記事内に「先に SAA や G 検定を取っておくと理解しやすい」と書いてある通り、ML の足場を別資格で固めてから入る形です。評価指標(Precision / Recall / F1 / RMSE / AUC)と教師あり / 教師なし学習の用語、SMOTE などのデータ整備手法を押さえる必要があります。テキストや YouTube 解説で概念から入れる時間を確保するのが鍵です。
特に (3) のルートを取る方には、ChatGPT などの LLM に「この問題の選択肢の違いを 3 行で」と聞きながら回す学習が効きます。問題集だけで詰めると AI 用語の壁で止まりがちなので、補助役として LLM を併走させると停滞を避けられます。
おすすめ教材(日本語読者向け3本柱)
学習フローで触れた教材を、ここで具体的に見ていきます。aws mla 対策の教材選びは、日本語読者なら以下 3 本柱で十分間に合います。
カテゴリ | 教材 | 特徴 |
|---|---|---|
公式・無料 | AWS Skill Builder Exam Prep Plan(16 時間 35 分) | 最初の 1 本目。動画と公式練習 20 問が含まれる |
日本語問題集 | YEEE-T 氏「MLA-C01 対策テスト 4 回 +α」(Udemy) | 日本語講座の主流。本番より少し難しめで仕上げに最適 |
英語問題集 + 公式日本語動画 | Tutorials Dojo Practice Exams(Jon Bonso 氏 / 14.99 USD)+ AWS Black Belt Online Seminar | 英語の演習で形式に慣れ、日本語動画でサービス理解を補強 |
公式 Skill Builder の Official Practice Question Set(無料 20 問)は、shinkaaaai 氏が「本番と変わらない質の高い問題」と評しています。最低限ここは通したい教材です。Pretest(有料サブスク)まで進めば、本番 1 回分の形式練習ができます。
日本語の問題集は YEEE-T 氏の Udemy がほぼ標準ルートです。aminosan000 氏 / shinkaaaai 氏など複数の合格者が使っており、日本語の解説と新出題形式(順序付け・マッチング)への対応が利点です。Tutorials Dojo は英語ですが、Jon Bonso 氏のシリーズは AWS 全資格で定評があり、4 モード対応で本番形式の演習に向きます。
書籍は MLA 専用の日本語本がまだ少ないので、評価指標や統計の概念補強には機械学習の入門書(オライリー系)か、ChatGPT に「この用語を初心者に説明して」と打ち込む方が早いです。教材の選択肢が少ないぶん、迷う時間が短くて済みます。
よくある質問
Q1. MLA とは何ですか?
AWS Certified Machine Learning Engineer - Associate(MLA-C01)の略で、AWS の機械学習エンジニア向け Associate 級資格です。SageMaker を中心とした ML パイプラインの実装・運用が主題で、AIF より一段上、旧 MLS(廃止済)より一段下の難易度に位置します。詳細は §2「AWS MLA とは」を参照してください。
Q2. 合格点はいくつですか?
720 / 1000(換算スコア)です。65 問中 50 問が採点対象、残り 15 問は未スコアの試行用問題で、どれが対象外かは受験者にはわかりません。全問真剣に解く必要があります。
Q3. 受験料はいくらですか?
150 USD / 20,000円 税別(税込22,000円 ※為替により変動)です。USD 建てで設定されており、為替レートは AWS が少なくとも年 1 回(5 月)更新します。詳しくは AWS 公式の Before Testing ポリシー を参照してください。
Q4. 難易度は?
aws mla の体感では AWS 全 13 資格中 10 位(★★☆☆☆)です。Foundational の AIF より一段上、Specialty の旧 MLS より一段下、SAA とは別軸の Associate です。経験値で評価が割れる試験で、SAA や DOP 持ちの運用寄りエンジニアにとっては取りやすい部類になります。詳細は §5 を参照してください。
Q5. 旧 MLS との違いは?
旧 MLS(廃止)は ML 全般の理論・モデリングまで広く扱う Specialty 級でしたが、MLA は SageMaker と MLOps に大きく寄った Associate 級です。難易度は MLA の方が低めで、現行で実務に近いのは MLA です。詳細は §3 を参照してください。
Q6. 旧 MLS 取得者は MLA も取るべきですか?
再認定するなら MLA-C01 が事実上の選択肢です。MLS の有効期間は 3 年なので、取得から 3 年経つ前に MLA で更新するのが標準ルートになります。20 時間程度で合格している全冠者の体験記が多く(aminosan000 氏: 945 点 / 20 時間)、再受験のハードルは高くありません。詳細は §3 を参照してください。
受験言語について
英語 / 日本語 / 韓国語 / 中国語(簡体字)の 4 言語に対応します。日本語で受験しても、画面上で英語原文に切り替えられるので、翻訳の意味が取りにくい問題は原文で確認してください。
MLA を取った先のステップ
MLA で機械学習エンジニアとしての基礎が固まったら、次の方向は 2 つあります。
- AIP(生成AIデベロッパー プロフェッショナル): 生成 AI 開発の Professional 級資格です。MLA で SageMaker・MLOps を押さえた後、Amazon Bedrock や生成 AI アプリケーション開発に踏み込みたい方に向いています。
- SAA(ソリューションアーキテクト アソシエイト): AWS の設計力を証明する Associate 資格です。ML パイプラインを動かす基盤として、AWS 全般のサービス設計力もつけたい方に向いています。
あるいはクラウド基礎を先に固めたい方は AIF(AIプラクティショナー) や CLF(クラウドプラクティショナー) から始めるルートもあります。
ML 実装の前段としてデータ前処理・基盤を専門化するなら DEA(データエンジニア アソシエイト)完全ガイド が候補です。MLA で扱うデータ品質・特徴量設計を、Glue・Redshift・Athena などデータ基盤側から強化できます。
MLA の試験対策には スピードスタディ も活用できます。AWS 認定の問題演習ができるサービスです。
Speed Study編集部
AWS認定資格の学習をサポートするSpeed Study公式編集部です。